新緑に密やかな笑み

先週観てきた展覧会ですが記録のため

MIHO MUSEUM
3月10日(土) - 6月3日(日)
猿楽と面―大和・近江および白山の周辺から―

 あの、それ自体が深山幽谷に架かった幻の能舞台みたいなミホミュージアムのほの暗い展示室に、お面がずらっと並んでいるようすを想像しただけでちょっと怖くないですか?! 開館時間中はまだしも、夜中ももしかして警備員さんは巡回したりするのかしら、どんだけ気味悪いだろう…と勝手に盛り上がりながら訪ねました。


 各地の神社仏閣に数百年間にわたって所蔵されてきたお面および道具のかずかず、保存状態は良いものも、相応に傷んだものもありましたが、とくにまるで現代の品かと思うほど綺麗なままの安土桃山時代の装束が出ていたのにびっくり。地方のあまり聞いたこともない(失礼)お社にこんな立派なものが大切に残されていることに感服しました。

 そもそも人間の顔とはちがう異形のお面もたくさんあったのですが、まるで生きている人みたいななまなましさでとびぬけて怖かったのは、天河神社所蔵の「喝食」というお面です。図録や写真でみてもぜんぜん判りませんが、「どうやってほんもののの人間の顔をそのままこんなふうにお面に閉じ込めて加工できたんだろう…」と本気でしばらく考えてしまうほどの不思議さでした。そんなホラー視点しか無くてすみません。

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異界からの帰還通路


 意識の低いブロガーなので写真を撮るのを忘れましたが、展示棟カフェで食べた多彩な有機野菜のサンドウィッチ(古代米のサラダ付き)、せまりくる帰りのバスの時刻に焦りながらレセプション棟の売店で購入した自家製酵母の少々お値段お高いパン、いずれも美味しかったです。それにしてもあの美術館というか宗教団体、不思議。