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『失われた時を求めて』読了

「今年こそ」とエラそうに宣言していたのがもう 昨年の お正月。明けましておめでとうございます。私も今年こそ『失時』完読を目指します。よろしくお願いします— ニゲラ嬢 (@nigellanoire) 2020年12月31日 遅れに遅れてついに完読した。 思い起こせば(←起…

ペギーダ PEGIDA と「夕べの国」(『新たな極右主義の諸側面』メモ)

年末に、新刊書『新たな極右主義の諸側面』を読了。新たな極右主義の諸側面 (nyx叢書)作者:テーオドル・アドルノ発売日: 2020/12/13メディア: 単行本 全体が約120ページの小さな書物のうち、本文は60ページほどで、詳しいあとがき(1972年生れのドイツの歴史…

棋士たちのヴァルハラ?

奥泉光『死神の棋譜』読了 死神の棋譜作者:奥泉光発売日: 2020/09/25メディア: Kindle版 死神の刃の下で駒を凝視する男の行方は――。圧倒的引力で読ませる将棋ミステリ。――負けました。これをいうのは人生で何度目だろう。将棋に魅入られ、頂点を目指し、深み…

やっと読めた『椿井文書』(20200524読了)

10年以上前にたまたま新聞記事で読んで、気になっていた「椿井文書」 nigellanoire.hatenablog.com ↑ この日記の時点では「枚方市立中央図書館市史資料専門調査員」という肩書であった、 現在は大阪大谷大学文学部准教授の馬部隆弘さんが、一般向きの新書を…

“キモノショップinイングランド” その後

約11年前に、自分のはてなダイアリーに書いた駄記事*1↓ nigellanoire.hatenablog.com 当時はこの作品の日本語翻訳が出たことがあるのかよく知らないまま書いていましたが、このたびめでたく出るらしいです。 《H・G・ウェルズが、自身の青少年時代を投影しコ…

日本の音

平成精神史 天皇・災害・ナショナリズム (幻冬舎新書)作者: 片山杜秀出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/11/30メディア: 新書この商品を含むブログを見る 先日読み終えた、片山杜秀『平成精神史』のなかで、印象に残った箇所がある。こんにちの日本会議の…

記憶のなかの〔朧な〕極彩色

ネット書店に注文した本。 前川佐美雄 (コレクション日本歌人選)作者: 楠見朋彦出版社/メーカー: 笠間書院発売日: 2018/11/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 前川の作品がどうしても読みたいわけではなく、楠見朋彦が筆者だというのでそれじゃ…

再読は遠い夢みたいで

早瀬耕『グリフォンズ・ガーデン』読了。グリフォンズ・ガーデン (ハヤカワ文庫JA)作者: 早瀬耕出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/04/18メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 四半世紀ほど前に出た親本のほうを、ずいぶん昔、図書館で借りて読んだ…

全部が華麗に嘘くさい

雪の階 (単行本)作者: 奥泉光出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/02/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る NHK Eテレの『100分de名著』という番組がある。今年の3月には原武史が松本清張の主要作を紹介するという内容だったので、清…

読み終えられないうちに参加

■人文研アカデミー2018 連続セミナー「〈68年5月〉と私たち」ー68年5月と現在、政治と思想を往還する —佐藤嘉幸(筑波大学准教授)・廣瀬純(龍谷大学経営学部教授)「ドゥルーズ=ガタリと68年5月──佐藤・廣瀬著『三つの革命』をめぐって」 できれば読んで…

ひさしぶりに来た

人文研アカデミー2018 連続セミナー「〈68年5月〉と私たち」ー68年5月と現在、政治と思想を往還する 5回シリーズなれど、平日なので聴きたいやつ2回にしぼって参加の予定。この日はこちらのお二方:上尾真道(京大人文研研究員)「68年5月と精神医療制度改革…

物欲からはじめる新春

(ひさしぶりすぎて、はてなブログの更新のしかたもあやふやなままなので、練習も兼ねて投稿…) 前々から気になっていた、合衆国オレゴン州はポートランドの本屋さん、Powell'sのグッズを年末にポチりました。 クリスマスシーズンをはさんだせいもあってか、…

あなたは倒れないで

ダニエル・オーフリ『医師の感情』読了。医師の感情: 「平静の心」がゆれるとき作者: Danielle Ofri,堀内志奈出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2016/05/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 出版元の書籍紹介ページ(詳細目次・書評もあり…

衰えゆく季節

リベラル再起動のために作者: 北田暁大,白井聡,五野井郁夫出版社/メーカー: 毎日新聞出版発売日: 2016/06/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 7月の参議院選挙の前に出版され、私も選挙前に読もうと買ったものの、なんだかんだで今ごろに…

夏休みの宿題

きょうから夏休み…溜まっているあれこれやりたいこと、なんでもいくらでもできそうな気がしているが、5日後には無為に過ごした時間のもったいなさに茫然と座り込んでいる自分が、もう見えている。 とりいそぎ、懸案のこれ:はてなブログ Perfect GuideBook…

にわか医療マニア

昨年思いがけない病気に罹って以来、時間の無駄遣いと思いながらついつい、ネットで検索しては医療機関のサイトやら、自分と同じ病気の人の体験記やら、果ては同じ診療科・治療法を専門にしておられるお医者様のブログやらをぼんやり閲覧してしまう。ほんと…

2度目の秋

2年前のちょうど今ごろ、父が入院した時に、私は若松英輔さんの本を読んでいた。井筒俊彦―叡知の哲学作者: 若松英輔出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2011/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (13件) を見る そ…

いつもそこにいた

まだ読み始めてもいないけれど、[帯写真提供:東京電力]という装幀からも不穏な雰囲気が伝わってくる奥泉光『東京自叙伝』。 東京自叙伝作者: 奥泉光出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/05/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (67件) を見る 本の内容…

よみおさめ

『黄金時代傑作選』西崎憲 編訳(ちくま文庫) 読了。怪奇小説日和: 黄金時代傑作選 (ちくま文庫 に 13-2)作者: 西崎憲出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/11/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (14件) を見る 読みごたえぎっしり、でも一篇ずつ作風…

わたしは むしのきらいな おんな

奥泉光『虫樹音楽集』読了。 虫樹音楽集作者: 奥泉光出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/11/05メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (38件) を見る カフカの『変身』、なかでも印象的なひとつのシーンを軸に、さまざまな物語が語られる連作…

ここ数ヶ月で読んだ本の幾つか、そして

生き延びるためのラカン (ちくま文庫)作者: 斎藤環出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/02/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (38件) を見る 瞬間を生きる哲学 <今ここ>に佇む技法 (筑摩選書)作者: 古東哲明出版社/メーカ…

泰然とし過ぎた探偵語り

バルドゥイン・グロラー/垂野創一郎:訳『探偵ダゴベルトの功績と冒険』(東京創元社)読了。 探偵ダゴベルトの功績と冒険 (創元推理文庫)作者: バルドゥイン・グロラー,垂野創一郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/04/20メディア: 文庫この商品を含…

やっぱりナマで観たい聞きたい

橋本治『浄瑠璃を読もう』(新潮社)読了。浄瑠璃を読もう作者: 橋本治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/07/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 21回この商品を含むブログ (23件) を見る ほんの一部を歌舞伎または文楽で見聞きしたことがある…程度の…

分かっちゃいるけどやむを得ない。

石井洋二郎『告白的読書論』(中公文庫)読了。告白的読書論 (中公文庫)作者: 石井洋二郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/01/23メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 幼年時代から始まって、著者自身の読書来歴をたど…

旅と、麺と。

原武史『沿線風景』(講談社文庫) 沿線風景 (講談社文庫)作者: 原武史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/02/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (15件) を見る 原武史ファンを自認(<しつこい)する私ですが、こと鉄道方面に関しては全く素養を欠く…

律儀で几帳面なvisionnaire

『山尾悠子作品集成』(国書刊行会) 読了。 山尾悠子作品集成作者: 山尾悠子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2000/06/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 48回この商品を含むブログ (53件) を見る けっきょく2ヵ月ぐらいかかってじわじわ読んでい…

ことしの大きな約束

昨年末の日記にもチラッと書きましたが、永年の宿題であるマルセル・プルースト『失われた時を求めて』の通読(もちろん日本語訳でね!アハハ)に「再」挑戦することにしました。 思えば大学生時代、生まれて初めて手にしたアルバイト代で、いわゆる《清水の…

読むことと生きること

何かしら読まずにはいられない、そのことに変わりはないのですが、日一日と頭はボンヤリする一方で、読んだ端から全てがスカスカの神経網をすり抜けて行きなにひとつ思い出せず、ここに記録をすることはおろか、読むこと自体のペースも(これまでにも増して…

住んだかもしれなかった街

原武史『団地の空間政治学』(NHKブックス) 読了。団地の空間政治学 (NHKブックス)作者: 原武史出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2012/09/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (22件) を見る

誰もが書いている

伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』読了。屍者の帝国作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (191件) を見る 最初にこの黒々とした一冊を手に持ったとき、その…