なにわことばのゆかしさや

 先日から書いているグレ猫のことが、相変わらずうちでは話題に。
 
 きょうも猫カリを大急ぎで喰らい尽くして走り去って行く、その愛想もなーんも無い姿に、以下のような会話が。
「ほんまに可愛げが無いなぁ、せめてニャぐらい言うたらええのに」
「そやねん、にくそい猫やわぁ」

・・・ときたところで、
「にくそい」って、そんな言葉、本当にあるのか?


ということになり、さっそく取り出したのが、
牧村史陽編『大阪ことば事典』(講談社学術文庫
 同書の元版は昭和54年に発行されたものですが、実際には「明治中期以後大正時代までの約三十年間を中心」(はしがきより)とする大阪、なかでも著者の出身地である船場のことばが主となっています。
 我が家では何気なく口にしてしまったディープなことばが、本当に正しい(?)大阪あるいは上方ことばと言えるのかどうか自信が無いときなど、よくこの事典にあたります。アクセント記号(!)も付いていて、ネイティヴ関西人ですら近頃あやしくなって来ているアクセントの確認にも役立つんですよ。
 
 さて同書によると、

ニクソイ【憎相い】(形)ニクタラシイ。

とちゃんと掲載されており、みごとに由緒正しい大阪ことばであることが判りました。
 
 しかし、「憎い相(=ツラ)」って・・・あまりにもグレ猫にぴったり。