うすものの季節

 すべり込みセーフ、6月の終わりにお人形の着物を絽*1に着替えさせました。みずいろに淡い撫子色が重ねられた涼しげな配色です。

                      

 このお人形は夏に求めたものだったので、この着物を着た状態で私の所へやって来ました。つまりこの着物だけは、人形作家さんがこの子のためにきちんと拵えて着せておいて下さったものなので、つたない私の手による他の着物とはまったく格が違う( ̄∀ ̄;)のです。さすがによく似合っています。
 さいしょは「夏の着物を着てると季節が限られるなぁ」と思わないでもありませんでした(逆に、冬物の振り袖を着た市松人形は一年中そのままでもちっともおかしくありません)。でも後から考えると、夏物の着物を自分で作って着せるのは、裂地を探すのが大変だし、仕立てもそれなりに難しそう。夏物を着せておいてもらってむしろ助かった、と思うようになりました。  

 この人形の着物をあれこれ作っていた頃は、まだアンティーク着物ブームも到来しておらず、古裂を求める人はたいていパッチワークやお細工物、せいぜい洋服へのリフォームを楽しむ人ぐらいでした。それでも古裂の価格は私にはなかなか手が出せないようなものでした。その後アンティーク着物ブームのおかげで、古い着物の価格がビックリするほど高騰したと聞いています。それだけ流通する量も増えたでしょうから、じょうずに探せばよい裂地を手に入れるチャンスもあるのかもしれませんが、いまこの子の夏の着物を作るとしたらやっぱり大変だろうな・・と思うのです。

*1:もしかしたら竪絽あるいは絽縮緬というのかもしれませんが、何せ人間用の夏の着物地をほとんど見たことがないので正確には判りません。