類推の魔?

◆6/21 シンポジウム 大学批判の古層を考える-『日本主義的教養の時代』から-
こことかここ


 わーい、有名な先生たちがたくさん集まるみたいだぞ。とミーハー200%で、テーマもよくわからないままGO。

 戦後のリベラル/レフト・パラダイムによって見えにくくなっていた、戦前の大学における右翼思想ムーブメント「日本主義」の実像をつかみなおそうという共同研究。その成果をまとめた論文集『日本主義的教養の時代-大学批判の古層-』(柏書房)をめぐって、各章の執筆担当者とコメンテータとの提議・応答という形式だったので、かんじんのその本を読んでないどころか知りもせずにノコノコ出かけた私など、本来お話を聞く資格もなかったのですが、幸いなことに各紙に出た書評・紹介記事のコピーを受付で頂けたので、開始を待つ間に付け焼き予習ができました。


 先日から読んでいる『フーコーの振り子』が、いよいよ佳境に入ってきた(下巻も終盤、時間軸でいうとやっと冒頭の位置へ戻ってきて、驚くべき展開が待ちうけていそうな辺り)こととは当然まったく関係ナイ・・・はずだったのですが。【さいしょは帝大教授=知識人というエスタブリッシュメントに噛み付くための方便だったはずの「日本主義」が、やがてスーパーコンセプトに変貌してしまった】→【ネタのつもりがいつのまにかマジ】→【あれ、どこかで読んだような?】・・と、なんとなく『フーコーの振り子』を連想*1。おまけにコメンテータのお一人伊藤公雄氏は、イタリアファシズムが専門で、モロ事件について一冊本を書いたのは日本では自分だけと確かおっしゃっていたような・・というわけで、思いがけないところで繋がってました(強引に)。


 時間が不足気味だったせいもあったのでしょうか、大澤真幸氏のウルトラ早口にはびっくり。日本語が母語でない人であれが聞き取れる人っているのかなーなどとアホなことを考えたりはしたものの、最後まで眠くなることも無くあっというまの2時間半。もちろんテーマの面白さに「へぇー」だったからですが、先生がたの話がみな聞きやすく分り良かったおかげです。
 戦前の右翼思想がむしろ「反体制」的なものであったという点、イタリアファシズム全共闘・オウムとの比較なども興味ぶかく、またたとえば三島由紀夫の小説とか読むにしても、そういう歴史を知るのと知らないのとでは違うのかもしれないなぁと思いました。


 ただ、いきなり話を聞いただけでは、ここで言われている「教養」の意味がよくわからなかったので、やはり本を読まないと。『日本主義的教養の時代』はさすがに難しそう&大部なので、たぶん読め/まないだろうと思う(大汗)のですが、竹内洋氏の新書『丸山眞男の時代』とか『教養主義の没落』なら読めるでしょうか・・・それと伊藤公雄氏の『光の帝国・迷宮の革命―鏡のなかのイタリア』は上述のエーコ関連でやっぱり読んでみたいです。

*1:アナロジーに安易に陶酔してしまうこんな性向を『フーコーの振り子』は戒めていたはずなんだが