地味すぎ

『NY検事局』シドニー・ルメット監督

 これが97年の映画とは思えないぐらい地味でひねりの無い話(地上波放映なのでカットもされてると思うが、もともとそれほど長くないみたいなので、大幅に見逃した部分があるとも考えられない)。

 アイリッシュの父子2代続いて警察官(イアン・ホルムアンディ・ガルシア)。息子は苦学して検察官への転身し、父親が重傷を負った事件を手がけて成功するが、同時にその裁判を通じて、麻薬取引に関わる警察官たちの汚職の事実が明らかにされる。息子はついに父親まで疑うが・・・という話。警官の汚職というのはたいてい救いがない話なので、それだけにどう展開していくのかと興味を持ったが、驚きやどんでん返し的なものも皆無で、なんだか尻すぼみ。麻薬ディーラーとの仲介をしていた人物が殺されてた件なんかもどう始末がつけられたのか、(私が見た範囲では)よく分からないままだった。

 ガルシアにいいところを持って行かれてムッとする、アイビーリーグ出身のユダヤ系?検事とか、人権派弁護士のリチャード・ドレイファスとか、人物が類型的な感じ。そもそもガルシアとドレイファスが「盗聴の心配がない所で話そう」て、密談する場所がサウナ。それ、もはやギャグにしか使わないと思ってましたが・・・?
 なんといっても腹が立つのがレナ・オリン様にそんな陳腐な役をさせるなーてこと。ドレイファスの助手なんだけど、裁判で彼を鮮やかに負かしたガルシアにさっそく惚れて、速攻でゲット。のちに彼の父ホルムが不正をはたらいた証拠となる物を入手し、自分のボスであるドレイファスに伝えるかどうか一瞬だけ迷うんだけど「とてもできないわ・・だって貴方を愛してるんですもの」みたいな・・似合わん
 それにその件(メインの汚職とは別)でホルムがちょっと怪しかったことは、映画を観ている者には冒頭から分かっているので、サスペンスという意味でも物足りない。『L.A.コンフィデンシャル』と同じ年度の映画なのに、ちょっと素朴すぎる気がした。あざとさや変なクセが全然無くて、ストレートなところが良いといえばそうなんだけど。


 脇役にもけっこう知られた俳優が出てたと思う(ちょっともったいない)。“ソプラーノ一家”関係も2名。