慇懃な表現なのでございます


 先月の日記で、「靴下はだし」という便利な表現があることをid:aorenjarさんからコメントいただいて、安藤アナもこれ使えば良かったのにねーと思ったわけでした。


 さて昨日から読み始めたドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』(浅羽莢子訳/創元推理文庫)。ピーター卿と執事バンターの流れるように軽妙なやりとりに最初からハマってしまい、読み進めるのが楽しくてたまりません。この本の78ページに、次のような一節を発見。

 御前がご指摘になったサー・ルーベンの御靴跡の他に、男の素足の跡がついております−−サー・ルーベンのものよりずっと小さく、敢えてお尋ねでしたら、靴下裸足で長さ十インチというところかと存じます。

 これはピーター卿の指示で証拠品を調べて撮影までしたバンターが、それを主人に報告しているセリフで、バンターはピーター卿を常に「御前(ごぜん)」と呼んでいます。訳者あとがきでは、様々な貴族の称号や敬語についても触れられているのですが、この「御前」は原文ではなんということばなのでしょう、書かれていないので気になります。
 「靴下裸足で」も、原文はたとえば「靴を履かずに」のような表現で、直接これに対応するような言い方ではないのかもしれませんが、ちょっと興味のあるところです。とにかく、礼儀正しいバンターの口から発せられているのだから、安心して使える表現ですね(^o^)