溜まっていたあれこれを観る

 関係ないけど、ランドール博士って『プリズン・ブレイク』のタンクレディ医師にちょっと雰囲気が似てた。番組の内容は大したことなし(たぶんNHK出版から本が出てるから単にその宣伝?)。

 裁判のなかで、収容所のようすを記録した映像が映され、生存者が証言台に上がる。そうして公にされたナチスの実態が法廷にどれほど衝撃を与えたかが伝わってくるドキュメンタリー。

 先に観た『ドキュメンタリードラマ ニュルンベルク裁判』のほうも、再現ドラマ映像に実際の裁判の映像も加えて編集されており、ドラマ部分の俳優さんは(ソックリさんではなく)なんとなく実物に似た雰囲気のある人をうまく選んで作られていた。ドラマで取り上げられたなかにアルベルト・シュペーア(軍需大臣)という、自ら有罪を認め積極的にナチスの悪行を証言した珍しい人物がいる。彼は死刑を免れ、禁固20年の刑を言い渡された。
 このシュペーアの言行は、果たして本当に自分のしたことを悔いナチスの犯罪性を明らかにしようという考えからだったのか、それとも自分だけ有利な判決を得ようという計算ずくだったのか、見方が分かれているらしい。この役を演じた俳優はなかなか男前なのだ。そしていかにも誠実に苦悩し、真実を社会に知らせなければ・・という使命感に動かされて証言しているように見える。ところが、ドラマの終わりに実際の記録映像が流れる。するとそこに映っている実物のシュペーアの顔は、ドラマで彼を演じていた俳優に比べてずっと小狡くて計算高そうな顔つきに思えるのだ。とたんに、シュペーアの真意はどこにあったのか、ここまで観てきたドラマが(というより自分が)急に疑わしく思えて、ちょっとショッキングな構成だった。
 しかし、じっさいニュルンベルク裁判に於いて、シュペーアが与えることにまんまと成功した印象を具現化するとあの俳優の顔になり、法廷で人々が観(てしまっ)たものを映像にしたのが、あの俳優の演技なのかもしれない。そう考えたら、なかなか巧いドラマなのかも。

 ドラマ版のゲーリングは傲慢で強烈なキャラを打ち出していて、これはかなり色づけされているのでは・・と思ったのだが、実際の裁判の映像で観てもやはりゲーリングは(あんな立場に置かれている者にしては)まるで怯んだようすもなく威圧感たっぷり、他の被告とはレベルの違う存在感を放っていてとても嫌な感じだった。