うっかり観てしまったのでしぶしぶ記録

  • 『イグニッション』(カナダ/フランス)イヴ・シモノー監督(地上波・吹替版)

 「廉価版マイケル・ダグラス」というおもむきのビル・プルマン演じるはぐれ連邦保安官が、重大事件を担当する女性検事のボディガードを命じられ‥レナ・オリンは気の強そうなところ以外あまり検事っぽく見えず。服装もへん(とくにラストで着てたやつがどうも)。彼女はやっぱりこういう「一見強いけど、実は弱くて可愛い女なの…」的キャラよりも、「もの静かでとびきり酷薄」みたいな役で見ていたいわ。

 冒頭でプルマンが休職させられる原因になったらしい事件が描かれ、それが本筋の陰謀とどこかでつながってくるのかと期待したけれど、そうではなかったみたい(よくわからんかった)。前半は証人の消され具合とかそこそこ陰湿でダークだったのに、クライマックスで急に危機のサイズが大きく派手になる(ロケット打ち上げ同時にそのへん一帯大爆破計画)のが唐突で笑った。あんな場所からあんなギリギリのタイミングで逃げ[られ]るてか!?警備はどないなってるねん。

 よく見かける顔が多かったのでてっきりハリウッド製と思っていたけれど違っていて、カナダ出身/在住の俳優多数。画面ではザ・ロックにちょい似ていた敵役のこの人は、なんと長年シュワルツェネッガーのスタンド・インをやってたらしい。シュワちゃん映画でたびたび死にかけて懲りてしまい、普通俳優(笑)に方向転換したそうです。

 小学校の時にテレビ放映で観て、チャールトン・ヘストンのファンになった私。おかげで、中1の時にちょっと色っぽい女性英語教師に「男の趣味が良い(大意)」と賞められたわけですが、じつはそれ以来この映画をたぶん見直しておらず、続編も未見。今回シリーズ全作放映だそうなので、この際まとめて観るつもりなのだが、第1作のこれからしてまず全然記憶してる場面というのが無くて、まるで新鮮だった。
 導入部の、レトロな宇宙船が墜落する湖から《禁断区域》を横切ってさまようあたりの荒涼とした風景が意外に魅力的。猿の支配領域に入ってからは、40年の時間を感じさせない特殊メイクの素晴らしさを感じるものの、建物の感じなんかは今ひとつだった。主人公のテイラーは最初からペシミストふうなことを口にしたり、ところどころ理屈っぽく演説臭いセリフもあって、時間や文明についての思弁的な色彩が思ったよりも濃い。それなのに、数千年経ってるのに20世紀米語がそのまんま話されてることについての疑問も回答も提示されないところがアメリカ的。テイラーはあの《衝撃のラストシーン》に至るまでは、いったい「いつのどこ」に到着したと思ってたんだろう?
 それはともかく、小学生の私にはとうていあの宗教裁判の変奏や人種差別のアナロジーなど察するべくもなかったはずで、何も分かっていなかった→腰布一枚のチャールトン・ヘストンに眼が釘付けのエロい子供だったという歴史的事実が掘り起こされた一夜。

 おまけ:検索してたら類似タイトルで出てきたのが→これ。トホホ…