恐怖も鮮やかに?

 本棚の中の骸骨:藤原編集室通信より、11/22の「今日のあぶく」。(1日で消えてしまうので、たくさん引用御免)

F・W・ムルナウ吸血鬼ノスフェラートゥ クリティカル・エディション》 を見る。1921年の作品だから完全なパブリックドメインで、廉価なDVDがいくつも出ているのだが、デジタル補正を施された今回の版は、画像の鮮明さがぜんぜんちがう。無声映画の場合、画質によって映画の印象まで変わってくることも少なくないので、この紀伊国屋書店クリティカル・エディション・シリーズはありがたい。黒沢清×篠崎誠×遠山純生の鼎談を収めた小冊子つき。特典映像は、ムルナウの生い立ちや撮影ロケ地の紹介のほか、この映画の発案者で舞台装置・衣装を担当した画家アルビン・グラウが、オカルト結社にも関わった神秘主義者であり、魔術師アレイスター・クロウリーとも接点があったこと(但し、その思想には反対していたらしい)などを教えてくれる。作中にもアタナシウス。キルヒャーの図版や数秘学的図像がさりげなく写り込んでいるらしい。

 ムルナウ版『ノスフェラトゥ』を観たときたいへん眼が疲れたことは、この日記にも書いたとおり。それが見やすくなってそう、というだけでもちょっと心が動きます。《アタナシウス。キルヒャーの図版や数秘学的図像がさりげなく写り込んでいる》ってのも気になる・・