- 作者: 西口 徹
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2001/10
- メディア: ムック
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あの金井美恵子さんも愛読者だというのに、山田風太郎の作品を読んだことがなくて、ずっと心にひっかかっている。しかし作品数も多そうだし、いったいどれから読めばいいのかよくわからないので、予習としてこのムックを手に取ってみた。
山田風太郎が再び気になりだしたのは、uminekob37さんの日記で、『八犬伝』(忍法帖じゃないほう)が面白そうなのを知ったのがきっかけなので、最初はまずそれを読みたい。でもこの本でいろいろな作品の紹介を読むと、室町物・明治物・そしてやっぱり忍法ものも、それぞれに面白そうでひとつは読まないと…という気分になります。
収録されているのはいろんな筆者による作家論・作品論に加えて、山田風太郎自身の対談、エッセイ、それに単行本未収録などの作品もいくつか。忍法帖と明治物をつなぐ【幻の傑作】と銘打たれた「開化の忍者」の、《恋する女性の処女を守るために、自分の性的能力を破壊してしまった》《純情にして愚かなる三人の日本の忍者は、あっけにとられた顔で息絶えてゆくのであった》という結末にこちらもあっけにとられつつ、こういうバカバカしさにまた出会いたくなる。
巻末の作品リストは年代順に整理されているが、現在どの出版社・どの文庫レーベルからどの作品が読めるのか?ということを知るのにはちょっと不便。
風太郎作品は文庫化されているものも多い。よく行く書店で探してみたのだが、講談社文庫が比較的よく棚に揃っていたものの、廣済堂文庫などは風太郎作品を多く出しているはずなのに一冊も見つからなかったり。人気作家とは言えやはりちょっと昔の人、すぐ手に届くところにずらっと揃っているというわけにはいかないようだった。