2008-02-29 馥郁かつ殺伐 book 佐藤亜紀『ミノタウロス』(講談社) 読了。ミノタウロス作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/05/11メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 110回この商品を含むブログ (132件) を見る この人の小説を読むと、しばし"男の子"気分になれるところがひょっとして好きなのだろうか、と今さら気づく。でもそんな暢気なこと言ってられるのもせいぜい小説の前半だけ。 もともと父は不在あるいは機能不全でありながら、似非父は殺さねばならず、しかもその似非父が失われたあとに更なる転落がやって来る。結末近く、ウルリヒ(と、ぼく)のお育ちの良さが覗く場面は、表紙画の夕映えのように切ない。