終わりの始まり(おおげさ)

 毎朝、ラッシュ時間帯に市営地下鉄を利用しているのだが、駅のアナウンスで耳に引っかかるものがあった。

危険ですので駆け込み乗車はおやめ下さい。次の列車をご乗車下さい。

 もちろん初めて聞いた時は、単なる言い間違いだと思ったのである。「〜にご乗車下さい」と「〜をご利用下さい」との混線ね。しかし、今日ふたたび同じことを言ってる*1のが聞こえたため、これは心の底から正しいと思って言ってるんだなと気づいた。

 過去にもこのコーナー(笑)では、「〜を切りつける」そして「〜を噛みつく」と、助詞「を」の使われ方に対する違和感を採りあげてまいったわけですが、こうまで実例が揃ってくると、個別のヘンな使われ方というよりも、むしろなにか日本語とそれを使う人のなかで大きな変動が起きている(あるいはすでに起きてしまった)のだろうか、私と彼らとのあいだにはもはや決定的な裂け目が生じたのであろうか…という『幼年期の終り』的戦慄を感じたりする、けさの小ネタなのだった。

*1:録音を流しているのではなく、プラットフォーム上で係員がマイクを使ってしゃべっている