やつらはとっくにご存じだった

 山鉾巡行スタートを前に、裃姿のテンパったおじさんたちが右往左往する通りを折れて建物の中に入り、ほっとひと息ついたら、とたんに蝉の声がした。ビルの谷間にポツンと残る、樹木に遮られた庭のある民家の辺りから聞こえてくるらしい。昨日の梅雨明けは、私には「思いがけず早く来たなあ」という感じだったのだが、さすがにやつらは知っていたのだ。