27日午後、奈良県天川村の山中で、登山をしていた60歳の女性が足を踏み外し、25メートルの崖下に転落する事故があった(後略)
上に引用したのはリンク先のニュースページに載っている文章だが、そこから更にリンクされているニュース動画を再生してみると、アナウンサーは「崖に転落」と言っていて、画面テロップ文字もそうなっている。ウェブ掲載用の原稿は別に書かれたものらしい*1。
私は27日の夕方にNNN系以外の局のニュースを観ていたのだが、やはり「25メートル下の崖に転落」とアナウンサーが口走り、言い間違いかと思ったけどニュースのリード部分と本文で2回同じ事を繰り返していて、テロップの文字もその通り書いてあったので、某他局もやはり「崖に転落」で正しいと思っているようだった。
私の感覚では、25メートルの高さにたちあがっている部分が「崖」であって、その下は「崖」ではない。いや、「崖また崖」という地形だってあるかもしれないが、転落し終わる地点があるとしたらそれはたいてい平らになっている部分で、崖の途中で引っかかることはあっても「崖に転落」するのは難しそうだ。最初に引用したテキストのように「崖下」という言葉を使うか、「高さ25メートルの崖から転落」とかするものではないかと思う。
まだ日本語経験の浅い非ネイティヴ話者が、「25メートル下の登山道/滝壺/茂みに転落」などという文章が頭のどこかに残っていて、場所の名称だけ入れ替えればOK、と思い込んで発した日本語に見えてしまう。最近そういうケース(無教養や思い違いによるものではなく、ふつうに生まれた時から日本語を使っていたら言わないように思える日本語)が多い。これとかこれもそうだった。
恒例、ググリンク: