死してなお、人生訓を垂れさせられて

 かつて私は、ターシャの描く素朴で可愛らしい絵*1、美しいお庭や手作りの品々、そしてちょっと昔の暮らしを衣食住にわたって自分の体でやり続けてみるという「全身コスプレ魂」に感心し、いくらか関心を持っていたのだった。
 しかしいつの頃からか《ターシャ・テューダーの「相田みつを」化》とでもいうべき、妙な精神主義に基づくターシャ・テューダー受容が目立つようになり(NHKのドキュメンタリー番組が主犯のような気がする)、すっかり嫌気がさしてからは「もう彼らの奪い取るがままに任せよう…」みたいな心境になっていた。そして数年が経ち、彼女は亡くなった。

 ここに、《ターシャ・テューダーの「相田みつを」化》の完成形と見られる商品がある。ターシャの魂の安らかならんことを、「お説教され好き」が数多く住む極東の小さな島国の片隅から祈る。

ターシャ・テューダー 言葉の日めくり  写真編 ([実用品])

ターシャ・テューダー 言葉の日めくり 写真編 ([実用品])

*1:なかでもコーギー犬がいっぱい出てくるやつ。日本ではいまほどコーギー犬がポピュラーになってなくて、絵に描いてあるだけでも貴重で愛おしかった