たしかに予習するべきだった

アラトリステ (1)

アラトリステ (1)

 原作者アルトゥーロ・ペレス=レベルテを愛読している*1母(シニア料金適用)のお供で……私にとってはヴィゴ鑑賞が主目的です。


 劇場と同じビルにあるカフェでは、“映画協賛メニュー”としてスパニッシュオムレツとスペイン産ワインが供されていた。しかし私たちはそんなおしゃれ企画とは関係ないお店で、おろしショウガたっぷりの「たぬきそば」で腹ごしらえしてから映画鑑賞。冒頭、すごく寒いシーンから始まるので、ホコホコ暖まっておいて良かった〜。
 いま出てる原作本は5巻なのだが、どうやら更に続きが書かれているらしく、かなり大河。しかも「戦いが果てしなく繰り返される」こと自体が大切な要素と思われるので、映画にするからって大幅な省略というのもしづらくてたいへんそう。歴史上の事件、人物関係など、なにぶんこちらが無知なので映画を観ただけでは分かりにくい点が多々あり、ネタバレぎみではあるにせよWikipediaなどを読んでから行けばよかったなーとやや後悔した。
 宣伝に某フェンシング選手を起用してたけど、ああいう舞うように優雅な?剣術というのはほとんど出てこず、泥と血まみれでボロボロの殺し合い場面がほとんどです。ただ、ヴェラスケスの作品の元になった情景を再現してみせたり、ところどころに17世紀ネーデルラント辺りの室内画を思わせる画面を、技巧的な色彩と光で作り込んであってハッとする美しさが(たしか、アラトリステが起き上がって部屋を横ぎり、国王から拝領した首飾り?を箱から取り出すシーンなど)。また、鳥の声や虫の音、雨や風の描写も奥行きを感じさせた。ヴィゴもちろん良かったし、かなしい恋の相手の女優も格好良くて魅力的だった。
 そしてまったくどうでもいいことであるが、オリバーレス伯爵のヒゲと髪形が向井万起男サンに似ていて、画面に出てくる度に可笑しかったことを書き添えたい。


 映画を観たあとは、「消耗したねー」「アドレナリン出た出た」「だいぶん斬られて出血したしね」と言い訳しあいながら、おっきなケーキを食べた。

*1:以前に一度書いたように、私はレベルテの第一印象が良くなくてその後読んでないのだけど、なんとその私が捨てた文庫本を拾って読んで以来ファンになったのが母。