実際、老嬢というのは非常に役に立つ人種で、地域社会の予備兵力だと言えよう。社会に不必要な女だと言われたりするが、社会に不必要な男は彼女らのような親切な存在がなかったらどうしようもないのだ。
コナン・ドイル「青の洞窟の恐怖」より。
- 作者: コナン・ドイル,北原尚彦,西崎憲
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/11
- メディア: 文庫
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不親切な私はどうよ?!
<つけたし>
星々まことにありがとうございます。
ところでこの「青の洞窟の恐怖」なる短篇の、主人公(手記の書き手)は結核をわずらって療養中*1の青年医師で、知人に紹介された滞在先が、アラートン姉妹という「老嬢」たちが所有する農場というわけ。その農場の近くで、神秘的な洞窟と出会い、またそこにまつわる不可思議な噂を耳にした彼は、つい引きこまれるように危険な洞窟探索を始めてしまう…というお話。
私はてっきり、彼の冒険と生還に上述の老嬢たちがひと役買うという筋書きだろう(そう、「アリアドネの糸」的な何かで)と期待したんだけど、けっきょく物語の後半には全く彼女たちへの言及すらないまま終了。万国の老嬢たちよ、やっぱり「親切」なんて止めときぃ。
*1:「社会に不必要な男」というのはそんな状況を指しているのでしょう