どっちなのかな(怒)!?

 前からずーーーーーーーっと気になり続けているが、あまりにも多すぎるわりに「これっ」という例を挙げることがなかなかできないので書かなかった件。

最後のいすに赤羽、佐藤=世界陸上マラソン代表(時事通信) - Yahoo!ニュース

 日本陸連は7日、世界選手権(8月、ベルリン)のマラソン代表で未定だった男女各1人と、競歩の代表を発表し、マラソン女子は赤羽有紀子(29)=ホクレン=、同男子は佐藤敦之(30)=中国電力=が選ばれた。
 赤羽は初マラソンだった1月の大阪国際女子で2時間25分40秒を記録して2位。「初めての世界選手権にマラソン代表として出られて、とてもうれしい。ベルリンに子供も連れていく」と初出場の抱負を語った。

 上のリンク先記事に含まれているわけではないのだが、赤羽選手が記者会見で答えている場面をさっきテレビで見ていたら、字幕つきで流れた談話:

メダルに絡んでいけたら一番うれしいのかなと思います。

 この赤羽さんに限ったことではなく、もう気になって気になってしかたないわけです、最近の若いお方のこの「〜のかな」が。
 これ、前後はわからないものの、ほぼ確実に自分の気持ちの話をしてるんでしょう。普通に「一番うれしい(な)と思います。」と言えばいいではないか。私もそうとう逃げを打ちながらでないと物が言えない卑怯な人間だが、その私ですら「そこまで自分の言い分をぼやかしたい」というのがそろそろ理解不能な域に入ってきた。


 このやたら気に障る「〜のかな」を、そこらの若い衆だけでなくえぇオトナが使い始めた!と最初に感じたのが、もう何年前になるの?(笑)あのアベ氏がお腹をこわしながらもまだ首相職にいたころ、囲み会見みたいな場で

(かくかくしかじか)の政策が、いま最も優先させて進めていくべきものなのかなと思います

というような言い方をしていた時だった。「おっさん、なにカワイコぶってるねん!?」というのがその時の私の印象で、だから当時は未だちょっとフニャっとした婦女子が使う言い回し*1として私の中では位置づけられていたのだと思う。しかしその後あっという間に蔓延し、いまでは例えば経済ニュースでコメントを求められた金融機関の主席アナリストだの、そこそこの地位の官僚男まで甘えた口調で「〜のかな」を連発しているのを、ほぼ毎日聞かされ見せられることになっている*2。もういったい、それが本人の考えなのやら、他人の考えに言及しておられるのやらも、ハッキリわからなくなってきてしまうのである。


 この「〜のかな」、単にぼやかした断定回避の甘えが感じられるというだけではない。むしろこれまでは、疑義を呈するような意味合いでも使われていたはずで、ヘタすると言っている意味を正反対に取られるおそれもあると思う。
 もちろんここで私が言っているのはほとんどテレビで見かけた例で、前後の文脈を含め、顔を見ながら話をずっと聞いている限りではその意図を誤って受け取る心配はあまり無いのだけど、仮にこれをそのまま文字にして読んだ場合、上述のアベの談話など、
「いま最も優先させて進めていくべきものなのかな」=(果たしてそんな政策を最優先させていて良いのか、他にもっと大切な問題があるはずだと自分は考える)…と、そんな意味にだって取れなくはない。


 まぁそのへんの婦女子どうしのおしゃべりとか、オリンピックの金メダルがうれしいのうれしくないのという全くどうでもえぇ話の場合はいいとしても、一国の総理だとか、ある程度責任ある立場の人が公的に意見を述べたり、論理的に自分の主張を展開している「つもり」の場面では、「〜のかな」でごまかすのは慎んで欲しい。「進めていくべき政策(である)と考えます」とハッキリ言えないのはなぜなのか、がそこでは問われるべきである。キッパリ。

*1:「○○が食べたいかもしれない〜」など、自分の意思を述べているにもかかわらず、意図的にぼやかす表現が流行った延長として

*2:あっ、そういえばそのかわりに「語尾上げ」をあまり聞かなくなったかもしれない!?