読みやすい/読みづらい文字組み

 読了したばかりの『ピラミッドからのぞく目』(集英社文庫、2007)は、なんだか文字がギッチリ詰まっている印象で、最初けっこう読みにくい感じがした。しばらくするうちに慣れましたが。
 続きを読んでる『ロリータ』(新潮文庫、2006)と比べると:

 (左:新潮、右:集英社。)


 はてなキーワードによれば、【文庫判】のサイズは「148×105ミリ」とのことで、じっさいこの両者を測ってみてもだいたいそんなもので、サイズにはほぼ差がなかった。
 にも関わらず、1行あたりの文字数×1ページあたりの行数をかぞえてみると、こんな違いが:

レーベル 1行の文字数 1ページの行数
新潮文庫   39字   17行
集英社文庫   41字   18行


 ぱっと見てとくに目立つのが、集英社文庫行頭の余白の狭さ。左右の余白は、じっさいには新潮と同じくらい取ってあるようなのだが、頭上の窮屈な感じが影響するのか、全体に「紙の端のほうまでギッチリ印刷してある」感じを受けてしまう。



 集英社のほうは、せっかくモダンですっきりした読みやすそうな字体を採用してあるのに、行間・字間が詰まった感じがするせいで目が慣れるまで読みづらい。本作の性質上、ルビがたくさん出てくるので、なおさら行間がせせこましい感じになる。新潮文庫のほうは、ややクラシックな明朝系の字体だけど、こうやって見ると「さすが読みやすさで一日の長あり」などと年寄りらしい感想を述べたくなる。