生体肝移植の幕開け / 1990(平成2)年6月

 『あの日あの時 時代の証言 / 生体肝移植の幕開け / 1990(平成2)年6月』京都大名誉教授 小澤和惠さん

 連載の第4回(京都新聞8/1)。
 当初は生体肝移植に対して「脳死移植の認知を阻害する」「人工透析というバックアップ手段がある腎臓移植と違い、脳死移植のバックアップがないまま踏み切るのは危険」など移植医のあいだでも批判が強かった。その後実績があがるにつれて「脳死移植とは別の独立した治療法として認められて」きたと小澤教授は言う。

 臓器移植法の特別委に呼ばれて話をしたことがありますが、議員の多くは居眠りをしていました。二度とこんなところには来るまいと怒りを感じました。 
 「脳死は死ではない」とか、「脳死判定を厳しく」とか、「それでは臓器提供者が出ない」といった議論はもちろん必要でしょうが、全身全霊をかけて患者を救命することだけを考えてきた者には、「議論のための議論」のように聞こえ、「かみ合わないなあ」と、今も思っています。