長〜い一瞬

百年の孤独

百年の孤独

 いろんなひきこもりがたくさん出てくるお話なので驚いた。もちろん私がいちばん親近感をおぼえるのは、恨みっぽくて頑固で潔癖なアマランタ。

 人物たちが(文字通りの双子を含め)ふたり一対になっていて何世代も繰り返すのと同様に、男たちが解読しようとする羊皮紙と、女たちがひたすら手がける刺繍や織物も鏡合わせのような対比になっているのが面白い。全てが書き込まれてしまっている羊皮紙に対して、(アマランタが自ら織る経帷子のように)手仕事が時間を、人生を延ばしたり縮めたりするというところが。
 全体として、脳内シアターではルイス・ブニュエル調の映像として上映されたのだが、ヴィクトル・エリセの「ライフライン」*1のことも思い出した。色調はぜーんぜん(笑)違うけど。


 どうでもいい小netaとして:この1999年版401ページに出てくる《ビード師(英国の僧侶・歴史家。673?-735)しか読んだことのないような本にたいするアウレリャノの嗜好を心得ている本屋の老主人は…》というのはこの本を書いた人のこと↓

ベーダ英国民教会史 (講談社学術文庫)

ベーダ英国民教会史 (講談社学術文庫)

 だというのは、もし『百年の孤独』を20年前に読んでいたら知らずにそのままになっていたので、遅れて読むことのお得もちょびっとは有る。

*1:『10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス』所収