複数母を匂わせる

http://www.asahi.com/politics/update/1212/TKY200912110554.html

 首相の金銭疑惑を報じる記事。この新聞だけでなく、資金の提供者を【実母】と書いているものが目につくが、単に【母】ではいけないのか、不思議だ*1。なんだか、「とりあえずひと文字多くしてもったいぶっておこう」という“よろしかったでしょうか”調の日本語のように感じられてうさんくさい。でもそれだったら【母親】にしとけばいいことだし…。


 首相とその弟に【実母】以外の【養母】や【継母】が存在するのかどうか知らない。配偶者の親という意味での【義母】なら存在するかもしれないが、それはあくまでも「配偶者の母」であって、それをここでわざわざ「母」の中に分類する必要があるのだろうか?
 また、たとえ仮に首相の家族関係が複雑で【養母】や【継母】が存在するのだとしても、一連の金銭授受問題にそもそも登場していない人物なのなら、それらの人物と区別する必要もないのだから、記事中であえて【実母】というふうに「しるし」をつけることの意味が不明(それとも、今後ぞろぞろと登場人物が増えることを見込んだ名付けなのか!?)。


 資金の提供者が【養母】や【継母】や【義母】でなく、他ならぬ【実母】であることによって、なにか税法上とか政治資金規正法上、重要な違いが生じるから「実の母親」であることを強調して報道する必要があるというのなら、それを明確に説明した記事にしてほしいものである。

*1:何せ『荊の城』なんか読んでるもんだから、「母たち」の存在にちょっと過敏(笑)。