読めるようにしておいて欲しい震災本

 図書館で借りてきた本(現在、新本としては入手できない模様)。

 『日本沈没』の作者が、阪神大震災の起きたその年に毎日新聞に連載したドキュメントをまとめた本である。私は当時も今も毎日新聞を読んでおらず、連載のこともこの単行本のことも知らなかった。ごく最近になって、『日本沈没 第二部』の文庫版の解説がこの本に触れているのを読んで(立ち読み(^。^;ゞ))、それはぜひ読みたいなと思ったわけ。


 じつは前に同じ図書館で、『果しなき流れの果に』を借りて*1読もうとしたら、すごく何度も借りられていて、手に持って読むのが気持ち悪いほどボロボロの本だった。内容が難しかったのに加えて、そのせいもあって読了できず挫折したという経験がある。


 だから、小松左京の読者は当館の利用者の中にもたくさんいると思うのだけど、『大震災'95』はあまり借りられてなくてほとんど傷んでいない。現在は書庫に入れられてしまっているので、人目につかないからなおさらだと思う。見返しの返却日スタンプが正しいとすれば、'96年夏に発行され、その年から翌年にかけては数人が借りたようだが、その後は数年に一度ぐらいしか借りられていない。副題に《この私たちの体験を風化させないために》とあるのが哀しくみえるような状態。


 未だ読みかけたばかりなので内容はほとんどわからないが、ほぼ震災直後の一年間という時間経過に平行して書かれた非常に生々しい本という感じは伝わってくる。長年、地震に関心を持ち続けあの『日本沈没』まで書いた当人にして、あの阪神大震災は想像を絶するものであった、その無念さがエネルギーになって本書に注ぎ込まれているのだろう。脚注も多数ついており、たいへん盛りだくさんで興味深い内容のようなので、できるだけ読まれるようにしておいてほしいものである。


 【届かなかった「一年生議員」の叫び】と題された章で、当時の兵庫一区選出の衆議院議員高見裕一氏の経験が紹介されている。震災当日からの高見氏の行動は高見裕一 - Wikipediaにも詳しく掲載されているが、震災に関係する著作もあるようなので、機会があれば高見氏の著書もちょっと読んでみたい。

官邸応答せよ (ASAHI NEWS SHOP)

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阪神・淡路大震災官災・民災この国の責任

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防災と自立の思想―阪神・淡路大震災から学ぶもの

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*1:ただし全集版のほう。文庫版が出てるのはこれまた最近知ったので、今度はちゃんと自分で買って読む!