水の中に薄くたなびく


山白朝子短篇集『死者のための音楽』(メディアファクトリー)読了。

山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス)

山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス)

図書館本です。収録作品のタイトルは以下の通り。

長い旅のはじまり  
井戸を下りる 
黄金工場 
未完の像
鬼物語
鳥とファフロッキーズ現象について 
死者のための音楽


 わたし好みだったかというとちょっとバラツキがあるのだけど、この中では気に入ったのが「黄金工場」と「鳥とファフロッキーズ現象について 」の2篇。町はずれの産廃処理工場?から流れ出す廃液に生き物を漬けると黄金に変わることを知った少年の話。とつぜん飛び込んできた謎の黒い鳥と、男性をひどく恐れる少女の不思議な共同生活の話。特に後者は落ち着いた文体で、神経質でほっそりした少女の姿が目に浮かぶような感じだった。献身的な黒い巨鳥はいったい何者だったのか…


 読み終わったところにちょうど注文していたこれが届いたので、

 山白の「鬼物語」と諸星の「鎮守の森」がダブってしまった。たぶん数年後には私の脳内で混ぜこぜになっていることであろう。



 トレーシングペーパーぽい半透明の紙にクリーム色でペイズリー模様を刷った、別丁扉がうつくしい。