幼時の記憶を求めて

 図書館の児童書室で借りてきた本。

時間と空間の冒険 [SF名作コレクション(第1期)] (SF名作コレクション (10))

時間と空間の冒険 [SF名作コレクション(第1期)] (SF名作コレクション (10))

 この本の存在をネットで知った時、「時間と空間の冒険」というタイトルに激しい懐かしさを感じ、もしかしたら子供のころに読んだ本の新装版じゃないかと思った。

 しかし結論から言うと、収録作5篇のどれにも全く読んだ憶えや懐かしさは見つけられなかったので、この点は当て外れだった。

 巻末の解説の後に、

この作品は、一九七一年、SF少年文庫の一冊として、岩崎書店より刊行されました。

とある。ビーケーワンで「時間と空間の冒険」というタイトルで検索してみると、やはり岩崎書店から1978年発行の『時間と空間の冒険 世界のSF短編集 SF少年文庫 14』という書目が出てくるが、もともとは71年に出たのが最初なのかも知れない。その後、1986年発行の『時間と空間の冒険―世界のSF短編集 (SFロマン文庫 (14))』というデータもあるが、おそらくこれも同じ物だろう。同じ版元から形をかえて何回か再刊されたということだと思う。

 もし、私が子供のころに「時間と空間の冒険」なるタイトルのSF本を読んだという記憶が、捏造されたものでないとしたら、残る可能性は次の本:

時間と空間の冒険〈第1〉 (1966年) (ハヤカワ・SF・シリーズ)

時間と空間の冒険〈第1〉 (1966年) (ハヤカワ・SF・シリーズ)

 しかしこちらは、まったく子供向けではない本格的なSFアンソロジーのようで(詳しい内容はこちらに)、ますます可能性が低い。やはり、「時間と空間の冒険」を読んだという私の記憶が偽記憶にすぎないのだろうか。もしかして子供のころから既に「買った(というか買って貰った)だけで読まない」という現在と同じ悪癖が、私にはそなわっていたのだろうか*1


 ところで、いちおう読んでみた収録作のなかでは

AL76号の発明 I.アシモフ
次元旅行	R.A.ハインライン
この宇宙のどこかで チャド・オリバー
未来からきた男 アルフレッド・ベスター
ロボット植民地 M.ラインスター

最後の「ロボット植民地」が一番おもしろかった。アドベンチャーだし、可愛い子グマも出てくるし。ただ、一冊のうちにざっと読んだだけでも気づいた誤植が4箇所ほどあったのは残念。子供のための本は、より丁寧に作ってあげて欲しいと思う。


***参考リンク:【ジュブナイルSFの世界】←私が『時をかける少女』なんかを読んだシリーズ、「SFベストセラーズ」は鶴書房盛光社ってとこから出てたのか!これこそ間違いなく懐かしす。

*1:あるいは、奥付で見かけただけのタイトルを、読んだと勘違い…という今でもやってそうなミスか