心騒ぐハープシコードの音色

 『悪魔に食われろ青尾蠅』について、『翻訳ミステリー大賞』ブログのこちらの記事に、

(...)『青尾蠅』が発表された当時は、チェンバロと言えばモダンチェンバロだった。これはヒストリカルチェンバロとは全く異なる音色を出す楽器で、20世紀初頭に開発されたものだ。演奏様式も、必然的にモダンチェンバロヒストリカルチェンバロで大きく異なる。『青尾蠅』で弾かれているのは、年代的に考えて恐らくはモダンチェンバロであろう。

という記述があった。

 そういえば、モダンチェンバロの音色(をそれとはっきり知って聴いたことがないので、たぶんあれがそうなんだろうなぁと推測しているだけなのだが)は、金属をガシャガシャと鳴らしているような、場合によってはひじょうに神経に障りそうな音で、このような小説の背景音として実にぴったりしそうだ。具体的にこれ、とは思い出せないけど、古いホラー映画なんかで、BGMにモダンチェンバロっぽい音がずっと鳴ってるのを観たことがあるような気がする。この前の『エル』がそうだったかしら。何となく、ブニュエルの頃の映画だったように思うのだけど<すごくいい加減