ソルフェージュ能力が問われる

 本屋さんで集英社のPR誌『青春と読書』9月号をもらって来た。翻訳家の岸本佐知子さんの新連載エッセイ「気がつかない読書」が載っている。第1回で取り上げられている本は『クマのプーさん プー横丁にたった家』。

 そのなかで、

(...) 当時幼稚園児だった私は、この本を毎晩寝る前に父から読み聞かされていた。父は兵庫県出身なので、「クマのプーさん」のイントネーションも(ソファレファレドド)ではなく(ドレファソファレド)だった。/そんな耳で聞いた関西風味の『プーさん』を、(...)

という一節があったので驚いた。
 私が発音する「クマのプーさん」の抑揚は、どちらかといえば、というよりほぼ前者(ソファレファレドド)に近く、後者の(ドレファソファレド)なる抑揚はそもそも耳の中に思い描きにくい。これがほんとに「クマのプーさん」の関西風イントネーションなのだろうか。だとしたら、自分の耳(口もだけど)の感覚・センスに根本的に絶望せざるを得ない。