落差が可視化される時

番組では、都市を襲う水の姿を、調査報告書に基づきCG化し、徹底検証する。その上で、最悪のシナリオから人々を守る、事前の「広域避難」について考えていく。最新研究から首都圏水没のリスクを検証し、被害を減らすためにどうすればいいか、探っていく。

 9/1防災の日に放映されたものを録画にて視聴。

 番組タイトルは『首都水没』だし、画面左上隅に表示されている見出しもご覧の通り「東京を襲う豪雨」などとなっているのだが:

 この地下街水没のシミュレーション部分は、関西大学の先生が研究されている内容を紹介するものだったので、CG画像では京都市営地下鉄東西線が水没してました。zest●池(笑)それは実際に沈没しとるという噂もww
 …という冗談はともかく、商業施設・駐車場・地下鉄という地下3層になった地下街は、東京にもよくあるタイプだという注釈つきでこの映像が援用されていた。

 この東西線のように、プラットフォームと線路を仕切る、いわゆるホームドアが設置された駅のばあい、水の逃げ場がないのであっという間にホームが水没してしまうらしい。先日、首都圏の駅で酔漢に押された年配の乗客が列車とホームの間に挟まれて亡くなるというたいへん気の毒な事故があった。あの時は「この種の事故を防止するためにはホーム柵やホームドアの設置が有効」と、どこのニュース番組でもさかんに指摘していたけれど、日常の乗降がより安全になるかわりに、こういう思わぬ影響も出てしまうのか…と意表を突かれた感じだった。


 都心であれ田舎であれ、さまざまな傾斜や上がり下がりのある建物や街並みを、ふだん私たちはほとんどなんとも思わず移動して暮らしているわけだが、いったん大量の水がそこにあふれ出すと、ほんの少しの高低差や遮蔽物が、一気に恐ろしい水の集中を生み出すことになる。危機に備えるためには、よほどの想像力が必要だ。
 番組では、避難に適した高所がまったく無いという江戸川区の行政担当者が、万一の場合に住民をどこへどう避難させるか知恵を絞る様子も紹介されていた。図面の上で「ここ、避難場所ね」とかんたんに考えただけの避難計画など、おそらく実際の災害時には全く意味を成さないだろうことが見て取れる、たいへん深刻な場面だった。