のは私だけだろうか(長々失礼)

 テレビでニュースを見ていると

調べに対し××容疑者は「○○を△△したことは間違いない」と容疑を認めているとのことです。

なんていう言い回しがよく出てくる。
 そのたびにうちの母が「“〜したことは間違いない”、なんて言うかぁ普通?」とツッコむので、「言わない言わない、本人は言ってない、たぶん」と答えるのだけど、それでも毎回同じ事を言いたがる。


 あれはたぶん、最近よく話題になる警察や検察の怖い人が自分で勝手に書いた作文(調書と言うらしい)を一方的に読み上げて聞かせ、「これで間違いないな!?」と脅された容疑者が「ハイ」と返事したら(もしかしたら弱々しくうなずいただけでも)

「〜したことは間違いない」と語った

ことにされてしまってるんだろう。警察発表の定型句に過ぎず、それを定例記者会見なんかで聞かされた記者が、なーんも考えずに警察の言ったそのままを新聞記事にしたりニュース原稿にしたりしているだけだ。たぶん。

 たまにお笑いのネタにされている【バールのようなもの】だってそうだ。「なんでバールやねん?バールて見たことあるか?」…と思う人も多いこの喩えも、たぶん警察が好んで使いたがる表現なんだろう。それがそのまま無反省にニュースにコピペされているだけだと推測する。ま確かに、重くて硬い金属の棒状の物…とかいちいち説明するのが面倒だからつい使いたくなるのはわかるけど。


 警察や犯罪とは関係ないけど、常套句として【走馬燈のように駆けめぐる】の走馬燈て、ほんまに見たことあるか?…というのも前にどこかでギャグとして聞いたような気がする。
 これに近い例として、【ボディーブローのように効いてくる】という比喩がある。私はこれを目や耳にするたびに、「ボディーブロー喰らったことあるんか?」と内心思ってしまう。もしかしたら、「いや自分が喰らわなくても、ボクシングの中継を見てたら分かる」という反論があるかもしれない。でも、効いてきたそれが他でもないあのボディーブローの結果であって別のパンチによって与えられたダメージでは絶対無い! というところまで、観戦しているだけでわかるんでしょうか(笑)ていうか、比喩というのは言ってる本人だけわかってもダメなわけで、世間一般の人が「ボディーブローを喰らったらこういうふうに効いてくる」ということをよく知っていなければ比喩として無効なはずなのに、おそらく大多数の人が体験したことがないはずの「ボディーブロー」がなぜ比喩として定着したんだろう*1


 どっちにしても、ただ単に「後でじわじわ効いてくる」と言えば済むようなところをつい【ボディーブローのように】と紋切り型をくっつけたくなる心理というのは、自分もよくやってしまうことだけに、面白い。面白いので、きょうのツイートでちょこっと使ってみた。

*1:日銀副総裁なんかが使ってる場合、もしかしたら「こう見えても俺、若い頃はけっこう無茶してたんだぜ」みたいなマッチョ誇示なんでしょうか?--->ボディーブローのように - Google 検索