人間グラヴボックスにキュン

 マイケル・クライトン原作っていうから何となくもっと最近の映画だと思い込んでいたら、レトロ未来感あふれる大道具やガジェットがつぎつぎ登場するので???となってしまった。でも約40年前の作品なんだから当たり前なのだ。
 細菌戦に備えて砂漠の地下深く建設されたすごいハイテクモダンな極秘施設に、なぜかふつーのネズミ色の更衣室ロッカー(笑)。そんな「古さ」は随所にあれど、テーマの興味深さ、終幕の核爆発回避を賭けた時間との競争のハラハラドキドキなど、いま見ても充分面白い。特に、衛星が宇宙から何かを持ち帰ってしまうという発端は、今年「はやぶさ」の帰還がもたらしたワクワク気分のちょうど陰画のようであるだけに、「もしもあれが…」という想像を誘う。
 全体にドキュメンタリータッチかつスピーディーな運びで作られており、集められた科学者チームの取り組みもポンポンと進むので、ボンヤリ頭にはちょっとついて行きづらい所もあった(もう一度見直したい)。しかし、アンドロメダ病原体の弱点は地道な分析と優れた洞察力を通じた正攻法によって発見される。トリッキーな解決ではなくそこのところは明快で分かりやすかったです(^^;)


 このお話にはリメイク作もあるそうだ。こちらのブログ記事によればテレビドラマらしいが、ちょっと厳しい評価のよう…でもそれはそれで見てみたいかも。そういえば、今回観た古いほうの映画では、主要人物のなかで唯一の女性科学者がごつい眼鏡をかけて煙草をスパスパやっている、不機嫌で毒舌家で全く色気のないおばちゃんであるところも注目なのだが(画像)、なんと原作ではメンバー全員が男性とのこと。わざわざ原作から設定を変えてまで出した女性キャラがこれか…というのは、ちょっと新鮮な驚きである。