昔のゼネコン

 アラン エルランド=ブランダンブルグ『大聖堂ものがたり―聖なる建築物をつくった人々』 (創元社/「知の再発見」双書) 読了(2/9)。

大聖堂ものがたり:聖なる建築物をつくった人々 (「知の再発見」双書)

大聖堂ものがたり:聖なる建築物をつくった人々 (「知の再発見」双書)

 ケン・フォレット原作の『大聖堂』テレビドラマ版が放送されるので、関連読み物として。

 だんだん大規模になっていくゴシック聖堂の発達に、巻き上げ機の発明が大きく寄与したことや、良質の石材を採取できる石切場の確保がどれだけ大切だったかなど、この本で得た知識を、ドラマの映像で見て確かめられるのが面白い。
 石工の親方が、発注元である領主や司教区などと契約を結び、下請け労働者の手配や賃金支払い・建材の調達まで引き受けて建築をなしとげる仕組みは、りっぱに一企業という感じ。後半の資料編は少々退屈でめんどくさいけれど、契約書などを通して当時の公共事業であった大聖堂建造がどのようにすすめられたのか、思い描きやすくなっている。