よく読めば血まみれ

 安達正勝『物語 フランス革命』(中公新書)読了。

 子供(小〜中学生)のころ『ベルサイユのばら』が一大ブームだったのですが、マンガにあまり興味がなく当該作品の絵柄も好みでなかったので、全く読まずじまいでした。あの頃騒いでいた同級生たちは、史実そのものとはいえないとしてもフランス革命についてそれなりの知識や感触を得たのだろうなと思うと、いまになってちょっと惜しい気もします。


 この本は、「物語」と称するだけあって難しい理屈よりも興味深い人物像やエピソードを中心に読みやすく書かれていて、とっつき易さは抜群。ただ著者はかなり明確にルイ16世びいき*1なので、何か別の本で“中和”することも考えねばなりません*2。それにしても、ここに紹介されたそこそこ有名人に限っても、ギロチンにかけられるような謂われは全く無いようなケースがいくつもあり、全体ではいったいどれだけの無辜の人間の血が流されたのかと思うと、社会が大きく動く時の誰にも止められない無気味な力についても考えさせられます。

*1:もしも本当にルイ16世が著者の描き出したような人間だったのだとしたら、ある意味、ナポレオンより興味深い男かも

*2:じつはずっと前に遅塚忠躬『フランス革命』(岩波ジュニア新書)も読んだんだけど、図書館で借りたし何もおぼえてない。名著らしいのであれを再読すべきか

フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書)

フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書)