ヨーロッパへ…(くりかえし)


 あとから気づいたのだが、先に観た『ヨーロッパ』のほうが製作年度は新しくて、むしろこっちが“ヨーロッパ三部作”の幕開け。
 いきなり催眠術?のナレーションから始まる『ヨーロッパ』とは違って、こちらは、カイロでの生活に馴染めず分析医を訪れた主人公が、ヨーロッパへ戻るよう薦められ催眠療法で過去へさかのぼるという場面から始まり、いちおう「なぜ催眠術なのか」の説明はついている。でもやっぱり結末はたしか「この眠りから連れ出してくれ…」みたいな科白で終わり、無事にこちら側へ戻ってくることはできてない感じなのである。

 いつも水浸しで黄色っぽく不自然な角度から撮られた怪しい画面、繰り返し出てくる揺らぐランプや金網など、映像の気持ち悪さは『ヨーロッパ』以上でこれは記憶に残りそうだが、真犯人を追っていったら自分だった…みたいな筋立てはちょっとありがちな気がする。(それと、この監督の作品は女性は魅力的だけど、男の登場人物にぜんぜんかっこいいのがいない!)