どっちにしても、貰えない

 博多人形というと思い浮かぶのはほっそりした和服姿の女性のお人形のイメージなのですが、京都でも修行された(林駒夫さんにも師事)というこのかたの作品は、そんな私の先入観からはずいぶん離れたものばかりでした。御所人形でよく見かけるスタイルの、赤ちゃんや桃太郎・金太郎なども可愛らしかったですが、さまざまな民族独特の姿をした一連の作品が、色づかいも美しくて魅力的でした。
 ウェブサイトには載っていませんが、モンゴル風の衣装と髪をした人物像(たしか「蒼穹」というタイトル)と、「菩提樹の下」という美男なお釈迦様のお人形が良かったです。

 光浦さんの本のタイトルは『男子がもらって困るブローチ集』だけど、女子だってこれ貰ったら困るかも…
 ガラスケースにずらっと並べられたブローチの群は、好き嫌いを超えて、迫力がありすぎました。「手芸」という言葉で呼べるようなゆるい雰囲気ではなく、作りこみのレベルというか密度はすごかったです。色づかいや技法が、モラブラジリアン刺しゅうを思わせる箇所もあったりしたせいか、全体に中南米カトリックの爆発的な装飾とか、メキシコの死者のお祭りとかを連想する世界でした。