人非人、神によらざる猿

金森修『ゴーレムの生命論』読了。

ゴーレムの生命論 (平凡社新書)

ゴーレムの生命論 (平凡社新書)

前から気になっていた本ですが、なぜ今読もうと思ったかというと

夜毎に石の橋の下で

夜毎に石の橋の下で

レオ・ペルッツの『夜毎に石の橋の下で』を買ったので、プラハユダヤ人といえばやはりゴーレムか…と早合点(?)して、この機会に(ペルッツを読む前に)読んでおこうかなと。


 でも、実際に読んでみたら、ユダヤの伝承としてのゴーレムを超えて、人工生命=人間未満の人間、生命未満の生命について思索をめぐらせる本であって、これまた『屍者の帝国』参考図書として非常にタイムリーだった。

屍者の帝国

屍者の帝国

 現に、読み始めてまもない『屍者の帝国』のp.48に出てくる

脳に記された真理(emeth)の語から先頭のeが拭われ、死(meth)へと書き換えられるまで(...)

なんていう箇所は、私にしてみれば『ゴーレムの生命論』を読んでなかったらピンと来なかったところ。

 また、『ゴーレムの生命論』では映画『エイリアン』シリーズを詳しく取り上げている部分があるが、さいしょ目次をパラパラと眺めた段階では、なぜ人工生命論と『エイリアン』?とややいぶかしく思ったものだった(私が『エイリアン4』をロクに観てなかったことが主な原因だけど)。しかし、この本が書かれた時には未だ世に出ていなかった『プロメテウス』において、あのシリーズがまさに人類の起源・あるいは生命の操作というテーマに繋がっていることがはっきりした今になって考えると、『ゴーレムの生命論』の鋭さが際立ってくる。


 ちなみに、『ゴーレムの生命論』にもちょっと出てくる、《血の中傷》あるいは《儀礼殺人》と呼ばれるユダヤ教の儀式に関する迷信というか風説に関連するらしき本:

ボヘミアの〈儀式殺人〉

ボヘミアの〈儀式殺人〉

 こちらもちょっと気になるが、かなり専門的そう&値段高〜い。