律儀で几帳面なvisionnaire

山尾悠子作品集成

山尾悠子作品集成

 けっきょく2ヵ月ぐらいかかってじわじわ読んでいた。全体の印象は、総ビーズでずっしり編まれたパーティーバッグみたいな重厚さで、よくもこれだけすみずみまで手抜きせずに細工し尽くしたな…でも自分の好みとしては総ビーズよりもオーガンジーの土台に部分的にビーズ刺繍を入れたぐらいの軽めの感じのほうが好きなのよね、という感じ。
 ずっと前に佐々木丸美を読んだ時にも思ったように、「リアルタイムでこれらを読んでいたら自分はどう感じたのだろうか」という興味はおぼえるものの、あー今まで読み逃していて残念、とまでは思えなかった。そして、書かれた当時でもじゅうぶん反時代的であっただろうこれらの作品と共に、21世紀の世へ復活(?)したことが著者にとって幸せなのかどうか、ふとどこへともなく問いかけてみたい気にさせられた。