旅と、麺と。

沿線風景 (講談社文庫)

沿線風景 (講談社文庫)

 原武史ファンを自認(<しつこい)する私ですが、こと鉄道方面に関しては全く素養を欠く為、楽しめないのではないかという思いがあって、あまり手に取っていなかった。本書もさいしょはスルー方針だったんだけど、100%鉄道ものエッセイというわけではなく、書評を絡めた連載だというので、それじゃ、と読み始めた。
 取り上げられている書物にはそれほど興味は惹かれなかったのだが、著者ご一行が鉄道日帰り旅のついでに立ち寄って食する各地の駅蕎麦をはじめとする麺類の描写がなかなかそそる。中でも、ときどき通りかかるJR京都駅通路の「麺串」は、立ち食い店なのでこれまで近寄ったこともなかったのだが、原氏が召し上がったという京風うどんが美味しそうだったので、次の機会にはちょっと寄ってみたい。
 ちょっと前の雑誌連載なので、先日読んだ『団地の空間政治学』や、ほぼ同時に出版された『レッドアローとスターハウス』(こちらは積ん読中)の予告っぽい記述が繰り返し出てきて、あぁこの頃に着想・執筆されたんだなと判る。それと、西村京太郎に対する厭味のにじむw記述も楽しかった。