2度目の秋

2年前のちょうど今ごろ、父が入院した時に、私は若松英輔さんの本を読んでいた。

井筒俊彦―叡知の哲学

井筒俊彦―叡知の哲学



その同じ病棟で、こんどは自分がこの本を読みながら過ごし、そして私のほうは生きて家へ帰る。

暴力階級とは何か: 情勢下の政治哲学2011-2015

暴力階級とは何か: 情勢下の政治哲学2011-2015


どちらもその前から読みかけていた本で、病気や入院と関係して選んだわけではない。生きることとか身体とか自由とかについて考えさせるような重めの本になってしまったのは偶然である。


廣瀬純さんには前から関心があったけどなかなか読む勇気が出なかった。この最新刊は、雑誌連載をまとめたもので比較的とっつきやすそうに思えたし、装幀・造本のオシャレさにも惹かれた。著者の考えの大事な部分が、連載エッセイ・鼎談・往復メールの形で繰り返し展開されるので、だんだんその思考に慣れていくことができ*1、ひさびさに「ここに書いてあること、わかる! 全然わからんけど、何となくわかる!」という興奮を味わった。他の著作もできれば少し読んでみたい。…が、じぶんの残り時間というものに改めて焦りを感じずにはいられない。

*1:愚かさと共にあるしかないこの世界で生きること、など