"I shall wear purple" , now !

終わらないかと思ったクロス・ステッチの完成

 自宅で過ごす時間が増えた、この春以来の数ヶ月。老眼も進んだらしく一段と読みづらさが増すなか、苦しみつつもなんとか読書だけは続けようとした。活字の小さな昔の新潮文庫をひっぱり出してきてカミュの『ペスト』を再読したり。


 しかし、ここ何年間もiPhoneのリマインダーが毎日午後4時に知らせてくる(←自分でそう設定した)クロスステッチ再開】という掛け声には、いくら空き時間おうち時間が増えようと、いっこうに従うことができずにいた。残っている作業はあとほんの少しの仕上げ程度だけなのに… 手仕事はいったん手から離してしまうと、ほんとうに再開するのがむずかしい。


 それがなぜ突然、動いたのか。それは将棋王位戦(笑)藤井七段のおかげ。私は将棋のルールも何も知らず、ただ眺めるだけなのだが、今週月曜日(7/13)の実況をAbemaTVで流しながら、「そうだ、こういう時に手仕事をすべきなんよなー」と、ここ数年ごぶさたしていた感覚がどういうわけか急に蘇ったのであった。そうなるとあとは早い。ちょびっとだけ残っていた仕上げをもはやテキトーな粗っぽいステッチで爆刺しして、その日のうちに完成させてしまった。



I Shall Wear Purple by Sue Hillis Designs

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I shall wear purple ステッチ完成図:サイズの目安としてスリッパの足入り(笑)

 左下の赤い帽子に掛かっている白っぽいレースの部分が最後に残っていた箇所。面倒なわりにあまり綺麗に仕上がらなかったのだけど、正直もうどうでもいいという心境。

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I shall wear purple 使用済みチャート

 長年の苦闘の痕ということで、ずっと使用していたチャート(冊子形状のものを購入、実物大コピーして貼り合わせたものを作業用とした)。セロテープ部分が変色している。このあと畳み直そうとしたら、ぱらぱらとテープがほとんど剥がれ落ちていった。

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I shall wear purple チャートの書き込み拡大

 拡大するとこんな感じ

 大きな作品なので布地をもてあまして、途中からスクロール・フレーム(わざわざ購入)に布を張ってステッチしていた。その様子も写真に撮っておけば良かったのだが、終わった終わったーぃ! と思い切り良くあっという間にフレームから外してしまったので、一枚も写真が無いことにあとから気づいた。本格ステッチャーみたいで格好よかったのに…




いったい、いつから刺していたのか

 当はてなダイアリーを遡ってみたところ、ちょうど15年前の春頃にステッチ開始したことが判る。
 そもそもこのデザインはRed Hat Societyなる、50歳以上の女性の元気な生き方を応援する(?)運動のシンボルとして広められたものだった。



 だから私も、当初は「50歳までにステッチ完成」を目標として刺し始めたはずで、じっさい、順調に行けばそれは悠々可能であると思われたのであった… 15年前って言えばまだ40代前半ですからね。

 ↓↓ 今さがしてみて見つかった「はてなダイアリー」時代のエントリーはだいたいこんなところ。

nigellanoire.hatenablog.com
nigellanoire.hatenablog.com
nigellanoire.hatenablog.com
nigellanoire.hatenablog.com
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(余談ですが:昔の「はてなダイアリー」にあった裏技的機能で、1日の日記に複数の画像を載せたい時に「西暦1000年1月1日などの、日記に使用しない遠い過去日付に画像を登録し、それを今日の日記に表示させる」方法で時々画像を載せていた。近年になって「はてなダイアリー」廃止に伴い「はてなブログ」に移行した際、その裏技的方法で掲載していた画像は表示できなくなってしまったので、今みると、画像が無くて何のことか意味のわからなくなっている日記が幾つもある。画像そのものは「遠い過去日付」のところにそのままポツンと取り残されて存在するはずだけど、修復する気力が無くてそのままに…)

 なんと、最後の2006年2月の日記には、今もTwitterでおつきあい(?)させていただいている方からコメントも貰っていた。見てますか〜!?
 2005年12月の「ようやく一段落」と書いた際の画像は、もうほとんど完成品と同じように見えるが、実はここからが細かくて刺しにくくて、しかもステッチが済んだ箇所と未だの箇所の見分けも記録もめんどくさいという泥沼が待ち受けていたのであった。
 この後ももちろん時々思い出しては進めていたのだけど、もう写真を撮ったりダイアリーを書いたりする気力が無かったため、いつ頃から完全にストップしていたのかはっきりしない。55歳にも間に合わないとなった時にはちょっとションボリしたはずだけど、だいたいステッチに限らず人生ぜんたいがションボリしているので、あまり憶えてない。ただもう、老いるとどんどん「できること」の種類も量も減っていくのを痛感した十数年でした。


 ともあれ、今となっては60歳までには完成してホッとしている。外出しにくい昨今の日常ではありますけれども、近いうちに額縁屋さんへ持っていって額装をお願いする予定。もうこんな大規模な刺しゅう作品に取り組むことも無いと思うので、なるべく立派な額でせいぜいえぇ感じに仕上げてもらおうと思います。会心の額装が出来上がったら、またここに載せる…かも。