『失われた時を求めて』読了

「今年こそ」とエラそうに宣言していたのがもう 昨年の お正月。


遅れに遅れてついに完読した。


思い起こせば(←起こさない。ブログって助かりますね)今回のちくま文庫版を揃えて読み始めたのが丸9年前。だったらしい。
nigellanoire.hatenablog.com
↑ここにも書いているように、ほんとは大学時代に読んでいるべきだったものを中年過ぎるまで怠惰に先送りし続け、やっと思い立ってみせたものの、たびたび長い中断をはさんで、またも挫折するのか…と思いかけた時期もありつつ、何とかヨレヨレでゴールイン。正直いって最初のほうにどんなことが書いてあったのかもう朦朧としているが…

「(若かった頃に)読んでいるべきだった」と書いたが、そして基本的にはそれが本心ではあるけれど、この大作のさいごに病身の語り手が、周囲の人々も自らもすっかり年老いたことを痛感し、残された時間はあるのか?と自問しつつも執筆に向かう意志を記すところを読んでいると、もしかしたらこの結末に自分がいまたどり着いたことにもそれはそれで意味があったのかもしれないと思った。


他にも未読本が山ほど積み上がっていることでもあり、同じ作品(しかも超長い)を再読するというある種の "贅沢" をする余裕がこれからの自分にはあまり望めそうにないが、もしも可能であれば、岩波文庫吉川一義訳で、もう一度さいしょから読み通し直してみたい。たぶん全く初めて読むような気持ちしかしないだろう。そして目の前に淡い水色と杏色がかった春の午後みたいな空間がただ広がっているなかへ知らない一歩を踏み出すような気分がするにちがいない。まるで若者みたいに。味わってみたいものです。