恐るべき子豚

『ブッチャー・ボーイ』ニール・ジョーダン監督


 飲んだくれミュージシャンの父(この監督の映画では常連のスティーヴン・レイ)、神経を病んで自殺を試みた繊細な母とともに、貧しいながらも元気な悪ガキとして暮らしていた少年フランシー。でも彼ら一家をブタとののしった、英国帰りの気取ったニュージェント夫人がどうしても許せなかった!*1 ニュージェント家に対してしでかした悪戯がもとで、とうとう更生施設に送られてしまうことになる。
 たったひとりの悪ガキ仲間だったジョンとも引き離され、ジョンはニュージェント家の子供と同じ寄宿学校へ入れられてしまった。寄宿学校があるのは、かつてまだ仲睦まじかった両親が新婚旅行で訪れた海岸の街だった。意を決して自転車で出かけるフランシー。でもジョンはもう彼の友達ではなく、父は新婚旅行の時すらも酔っぱらって大荒れのありさまだったことを知る。もう彼の心が帰っていく場所はどこにも無かった。

*1:この奥さま、いつも緑色の服を着ているのはアイリッシュ魂かと思ったけど、じつはエイリアンの色だったのだ。

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