水神様の怒り、たぶん 

 昨日付けの、新聞記事より

「出身地有名にしたくて」 「くまぇり」被告、8件自供

長野県下諏訪町で車両に放火したとして建造物等以外放火の罪で起訴された同県諏訪市湖南、飲食店手伝い平田恵里香被告(20)がほかに計8件の放火を認めたと、県警は31日発表した。(...)平田被告は動機について、「大騒ぎになるのが楽しかった」とするほか、自身が芸能界入りを目指していたことに関連して、「諏訪を有名にしたかった」などと供述しているという。

 けさの、『週刊朝日』8月11日号の広告見出しより

長野の放火娘「くまぇり」集中豪雨で「実家浸水」に何思う


 たまたま今日読んでいた『ホラー・ジャパネスク読本』所収の、津原泰水との対談で東雅夫氏が、

 ここでホラー・ジャパネスク評論家的な観点から『トレチア』に関してコメントしますと、たまたま私は先日、長野の諏訪地方の取材に行っていたんですよ。諏訪というのは、かつては全部が湖(現在の諏訪湖)だったのが、だんだん水面が縮小されて陸地ができ、そこに集落が形成された土地なんですね。それで、そういう土地というのは−−「湿原祭祀」というタームもあるように、往々にして宗教的な聖地というか、聖別された土地になる場合が多い。実際に諏訪も太古の昔から、神話的・宗教的なものが非常に濃厚に保たれてきた場所ですよね。そもそも湖水というのは、『ウルトラマン』の第一話を観ても分かるように(笑)いろんな神様が異界から降臨する際の着地点であり、鎮座地であり、時代が降(くだ)ると、龍とか大蛇とか亀とか摩伽羅(まから)みたいな、いわゆる「沼の主」的なものが棲む場所となる。また、農耕にも水は欠かせないわけで、日本的な集落とか共同体の生殺与奪を左右するような場所でもある。

 これはつまり、よりにもよって水の聖地たる諏訪で、不遜にも火を弄び土地を穢した者に、大いなる水の力が神罰を加えたということでしょうか。もちろん、何の罪もないのに水害に遭われた方たちは本当にお気の毒です。旧約の神だって、多大なる巻き添えを気に留めるふうもなく災いを下しますよね。神とはそういうものなんでしょう。いるとすればのハナシですがね。