食べやすく切ってあります

 「恵方巻」は大阪が発祥の地と言われます。我が家は1970年代初頭まで大阪に住んでいたのですが、当時そのような風習のことは聞いた憶えがないし、周囲の人も実践している様子はなかった。近所のお店で節分の時期に、海苔や巻きずしがとくにプロモーションされていたという事実も無いとのことです(両親の証言)。
 どこかで読んだ話では、船場のお商売のおうちや花柳界の風習だったそうだし、少なくとも私たちが住んでいたようなサラリーマン家庭が多い住宅地(大阪市内とは言っても戦前の感覚で言えばおそらく「郊外」)では、昭和30年代頃には知る人もないような慣わしだったんだろうと思います。
 それから、この風習の解説にしばしば「太巻き」とか「海苔巻き」という言葉が出てきますが、たぶん大阪では「巻きずし」という言い方が一般的。関東では具が一種類の「細巻き」が主流だったので、わざわざ「太巻き」という言い方をするみたいです。


 とは言え、いつ頃からか我が家では節分に母が作ってくれた巻きずしを食べる習慣があります。丸かぶりではなくて、ふつうに切り分けます。お若くて歯のじょうぶな方たちは丸かぶりして福をおつかみになるのが良いと思います。(お稲荷さんが1個破れているのは見逃してください。)