ちょっとセカセカ細雪


 『細雪』というと、おっとりスローな台詞が交わされるようについ思ってしまいがち*1。なので、冒頭の「音楽会へ締めていく帯選び」場面で、聞き取りづらいぐらい早口の大阪弁がポンポンやりとりされるのにちょっと驚く。えらく達者な大阪弁‥‥と思ったら、京マチ子(次女)・山本富士子(三女)ともに大阪出身だそう。
 私の脳内イメージではどっちかというと長女=京マチ子・次女=山本富士子に近かったので、観る前はこの配役にちょっと違和感を持っていたのだが、いざ観始めると、若き日の京マチ子はそれなりに阪神間のモダンな奥様に見えてくるし、山本富士子も「案外こんな感じが正解なのかも(確か原作には厚化粧が似合うとあったしね・・)」と思わせるのだった。
 それにひきかえ男性陣はいまひとつ。


 原作と違って、三女の雪子の縁談はまとまることなく映画は終わり、末娘の奔放な行動ばかりが目立つストーリーになってしまっている。テレビ放映なのである程度カットされているかもしれないが、京都の花見も省略、もちろん雪子の下痢も無し(笑)。話が端折られているわりには水害のシーンに妙に力が入っていて、迫力ある特撮映像になっているのが不思議だった。

*1:原作の文字づらが私には「おっとり」というよりむしろねっとりしつこい感じに見えるのは、台詞ではなくて地の文のせいなのかもしれない