行けそうで行けない

堀江敏幸『雪沼とその周辺』(新潮文庫)読了。

雪沼とその周辺 (新潮文庫)

雪沼とその周辺 (新潮文庫)

 雪沼って地名だったのねー。てっきり「雪舟」とか「雪村」とか「雪岱」のたぐいで、芸術家とそれをめぐる人たちの話だと思い込んでました(アホ)。
 有りそうで実際にはあり得ない、おとぎ話のような小さな町の暮らし。ぜんたいに穏やか〜な話が多いのだけど、「スタンス・ドット」「河岸段丘」「送り火」なんかはエンディングがなんだか不吉な感じで、その後が気になります。
 私が訪ねてみたいのは「レンガを積む」のレトロなレコード屋さん*1、それにボウリング場の今は亡き奥さんが作るサンドウィッチが食べてみたい。以前テレビで『エド』というドラマを観ていたことがあります。故郷の田舎町へ戻った落ちこぼれ弁護士が、さびれかけたボウリング場の一角で事務所を開くという話で、ボウリング場はなぜかノスタルジックな気持ちをかき立てる舞台装置なのだ。

*1:「2バンドのレシーバー」という言葉がグッと来た