ローズマリ・サトクリフのお話を読んでいたら、puhipuhiさんのダイアリーのこのコメント欄などで話題になっていた「トランペット赤」という言葉を思い出したので、メモしておきます。
しげみのはしっこに、下流の方で鮮やかな色が羽のように広がっているのがジャスティンの目をとらえた。ハナミズキのしげみが秋の炎をあげているのだった。ジャスティンは渓流のわきに下りていき、慎重に選んだあげく、長い枝を折りとった。枝についている葉は真紅だった。それはラッパのひびきを感じさせた。
(『銀の枝』岩波少年文庫/129ページ)
そろそろ日の沈むころだった。西に傾いた夕日が、小さな部屋に洪水のように流れこんでいた。その光はゆらめく黄金色の水のように、壁や天井に飛沫をあげていた。マーカスは光が部屋の中に流れこんでくるのに気づかなかった。そしてその光で目がくらまんばかりだった。ちょうど、たからかになりわたるラッパの音が鼓膜をつらぬかんばかりにひびくように。
(『第九軍団のワシ』岩波少年文庫/159ページ)
2番目の引用は「黄金色」であって「赤」ではないのですが、強い色や光に「ラッパ」の音響を感じるという描写で、類似点があると思ってついでに並べてみました。「ラッパ」が原文では何なのかも気になりますけれど。