オークションは不思議なり

12/2に見た『スリーパー・眠れる名画を探せ』の残り。

 画商界(?)のシャーロック・ホームズといわれる名画探偵だけあって、このPhilip Mould氏なかなかスタイリッシュ。平日は仕事場の画廊に近いロンドン、週末は家族と過ごすオクスフォードと2つの住まいを使い分けているところなんかもカッコ良し。今でも英国の人は、都会で仕事をしてある程度の成果を得たら、あとは田園生活を楽しむのが夢なのでしょうかね。
 ただ気になったのは、(モデル或いは画家が有名で)価値ある肖像画だということが、何らかの事情で判らなくなってしまって埋もれていたその作品が、このモウルド氏に見いだされるまでどんなところにあったのか、そしてどういう事情でオークションに登場したのか、というあたりが番組ではあまり詳しくはわからないので、見ていて不思議な感じ。「オークション」というのはそもそもそういうものなのでしょうけど。
 モウルド氏がその絵の正体を突き止めていくのに用いる資料は(少なくともこの番組で明かされた範囲では)、ネット上の画像や情報、あるいは公的な資料館に保存されている目録類などであって、いわばその気になれば誰でもアクセスは可能な物に思えます。
 ウィンザー城所蔵の肖像画が(実際はヘンリー8世の肖像だったのに)アーサー皇太子のものだと誤って記録されていたという件にしても、もしもウィンザー城の所蔵品担当者(?)が同様に古文書との突き合わせ作業を行っていれば発見できたことだし。
 要するに、「この絵・・何となく気になる」と感じて調査に乗り出すだけの“眼力”の有無がすべてを左右するということなのでしょう。