とってもスピーディー

アルフレッド・ベスター『願い星、叶い星』 読了。


 奇想コレクション(河出書房新社)の本を読むのはこれで4冊目。
 この前書いたように、スタージョンがいまひとつよくわからず、ダン・シモンズが一番面白くて感心したのですが、この本はその次に面白かったかもしれない。
 とくに、場面場面がとても鮮やかに目に浮かぶような気がして、“まるで映画を観ているみたい!”・・・というのは全然誉め言葉にならないのは承知しているのですが、なにせ語彙が乏しくて(--)ゞ。
 「昔を今になすよしもがな」は私の脳内映画館ではユマ・サーマン主演でした。男優の方は誰がいいのかなー?ヴィンセント・ドノフリオとか?誰もいなくなったニューヨークのあちこちで時おり崩落していくビルの描写があります。

ウェスト・サイドの摩天楼のひとつが、おごそかに崩れていった。伸縮式のコップのように真下に向かってつぶれていき、軒蛇腹や煉瓦を雨あられと降らせているのだ。

タイムトラベル物も多いベスターさん、見たんでしょうか1963年に、すでに!?

 「地獄は永遠に」は、SFというよりまさに幻想・奇想小説で、この叢書の狙いはこういうところにあるのだろうなと思いました。オムニバスふうの地獄巡り(ロビン・ウィリアムスの『奇蹟の輝き』みたいな地獄もあり)の果てに、ナントこの小説までxxxxオチだったなんて!という驚きの結末。
 ただ、「ジェットコースター」は意味が理解できませんでした。この作家は長編『虎よ、虎よ!』というのが一番有名らしいですが、もっとSFらしいSFなんでしょうね。たぶん読まない気がする(^^;)・・・・