白い巨体の真ん中辺りです

ハーマン・メルヴィル『白鯨(上)』(講談社文芸文庫)読了。

 いえ、もちろんまだ下巻が残っているんですけど、あまりに長いのでここで一回自分をほめないではいられない(笑)。いったいいつから読んでいたのかもう判らない*1ほど、休み休みしながら、とはいえそれほど苦しまずにここまで読んできた。さすが抜群に読みやすいと評判になった訳文のおかげ、なのかも。
 もちろんお話そのものも、心配したほど「難解」という感じはない。普通にきちんと理解しながら本を読む人なら、「何これ?わけわからん話が続くなぁ・・」とか「白い鯨の件はどこ行ったんだよ」とか途中で思うのだろうけど、どうも私のばあい海馬とやらが崩壊中らしく、読んだことをその場ですぐ忘れていく。こういうのを“とりあたま”って言うんですかね*2。そのため、どんどん脇道へ連れて行かれてるのにさえ気がつかず、どんな話が出てきてもフムフムと楽しく読んでしまっているらしい。これは逆に言うと『白鯨』の異様さを味わえていないということかもしれない(というか、あらゆる小説を味わえていないのかもしれない)。でも、時折発生する暴走感を自分では楽しんでいるつもりなのですが・・・

 というわけで、どうせ上巻の中身を忘れているので続けて下巻を読むことはせず、津原泰水『ペニス』読み中です。

*1:この日記内検索で、昨年11月にはもう読んでいたことが発覚。

*2:よく「一度読んだミステリでも犯人を忘れてしまうので再読しても楽しめる」という類の話を聞くが、私の場合は読んでいる最中でもそこまでの内容を既に忘れてしまうので、伏線に神経をとがらせつつ推理を楽しんだりして読むべきミステリというものを読む資格が無い。